ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

「何を、とな?」


赤鬼は愉快そうに声を上げた。


「明日香に何をしたと聞いている」


「人間には、関係のないことだ。それに――」


『すぐに死ぬ人間にもな』


その言葉を耳にした瞬間、衛は自分の全身の骨がきしむ音を聞いた。


気付いたときには、元いた場所から十メートル以上も離れた場所に倒れ込んでいた。


何が起こったのかも分からなかった。


「っ……」


うめき声も上げられない。


死と言う名の従者を連れて、ゆっくりと、赤鬼の重い足音が近づいてくる。


衛は、明日香の話から、彼女の一族が特殊な遺伝的要素を有していることを知っていたが、まさかこれ程とは思っていなかった。


例えどんなに特殊であっても、相手は『人間』


話し合えば理解できる筈。


だがこれは、そう言うレベルの問題じゃない。


『話の通じる相手じゃない』


こんなことならもう少し早く、無理にでも君を連れてここから逃げ出していれば良かった。


――すまない、明日香……。


「や……めて。だめよ、赤鬼。彼を手に掛けてはだめ」


衛が、己の死を覚悟したとき、赤鬼の腕の中の明日香が目を覚ました。

< 207 / 349 >

この作品をシェア

pagetop