ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

落ちたままのペンダントに敬悟が手を伸ばすのを見て、茜は先刻の上総の様子が脳裏に蘇り、思わず目をつぶった。


だが、茜の予想に反して、躊躇うこともなくペンダントを拾い上げた敬悟には、何事も起こらない。


「どうして……? 上総は、酷い火傷をしたのに……」


「……外さないで持っていろ。これは大切な『守りの石』だろう?」 


答える変わりに敬悟はそう言って、茜の首にペンダントを掛けて微笑んだ。


上総の前では表情を消してしまい、決して見せる事のない柔らかい笑み。


そのいつもと変わらぬ笑顔に、茜の心が揺れた――。


「ずるいよ……」


「うん?」


「憎ませてもくれないなんて、ずるい……」


「……そうだな」


敬悟は穏やかな声で呟くと、茜の頬に残る涙の後をそっと親指の先で拭った。


その夜、敬悟から聞かされたことは、信じ難いことだった。


それは、神津茜にとって、今までの自分の存在の根幹を揺るがすような、そんな事実だった――。


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