ブライト・ストーン~青き守りの石~【カラー挿絵あり】

上総の眼に、鋭い光が宿る。


それは、赤い炎となってゆらゆらと揺らめいた。


その圧倒的な威圧感に後ずさりそうになるのを、敬悟は辛うじて踏みとどまった。

 
「ふふっ。試してみますか? 見掛け通りの二十年ほどの年齢でしかないあなたが、五百の齢を生きる私に勝てるかどうか」 


上総の輪郭がぶれて行く。


みしり、みしり――。


ぼきぼきぼき――ごきり。


骨が歪む音が不気味に響き渡る。


筋肉が膨れ上がり、隆起する。


そして、めりめりと音をたてて、その頭上に、一本の角が生えた。


そこに現れたのは、あの日、明日香の葬儀の夜、茜の部屋に現れた赤鬼の異形の姿だった。


メタモルフォーゼ――。


人が、人で無いモノに変化するその様を、敬悟は身じろぎも出来ずにただ、見詰めていた。






< 278 / 349 >

この作品をシェア

pagetop