♀スクール・デイズ♂
ほっ。


ここでようやく、息をつくことができた。


それでもまだ、心臓は強く脈打っていて、私は両手で胸を押さえた。


そんな私の所作に、2人は首を傾げた。


「――どうした?」


「何だったんだ、アイツ」

「いや、なんでもない……」


私は取り繕うように、コーヒーのグラスを手にし、グイグイと飲んだ。


と、ふと何かを感じると――。


遠くの方の鏡介が、まだ私を見ていた。


……ギクッ。


そしてまた、不敵な笑みを浮かべて、鏡介はそっと目をそらした。


この期に及んで、何だってんだ。


それにしても、カズくんが助けに来てくれて、本当によかった。


私はこころの中で、カズくんにありがとうを言って、そこで初めてドーナツに手を伸ばした――。



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