空と君へ…
別に橘のことが嫌いってわけじゃない。

なんて言うか、橘を見ると胸のあたりがモヤモヤした感じになる。

それが嫌なだけ。

このモヤモヤ、何だろ…?

あれから帰り支度をしながら橘について考えていた。

懐かしい感じ。
モヤモヤする感じ。

知ってるけど知らない。

げた箱で靴に履き替えている間もそのことが頭から離れなかった。

校門を出ると、

「陽菜!!遅いわよ!!」

荒井さんがいた。

そっか。
今日は確か、レコーディングの日だった。

「ごめんなさい。委員会決めしてたから」

適当な言い訳をして車に乗る。

「そう。で?何になったの?」

聞きながら荒井さんは車を出す。

「…文化委員」

「ふ~ん。真奈美ちゃんと一緒なの?」

「…うん。あと余計なのが一人」

「あはは!まぁそう言わないの」

それから仕事場に着くまでたわいない話をした。
< 21 / 44 >

この作品をシェア

pagetop