揺れる虹
明日から大阪での公演が始まる。

一週間だけど、遠く離れることに今まで感じたことのない不安が襲ってくる。

逢いたい。

この手でぎゅっと抱き締めて、


「大好きだよ。」


って囁いて、全身で美羽を感じたい。

放り投げた携帯を拾いあげ、もう一度、美羽の名前を探る。


始まる呼び出し音に、呼吸を合わせ、目を閉じた。


『はい…………瞭くん?』


すぐに返事が出来ない俺を呼ぶ声。


『ごめん。ちょっと買い物に行ってた。携帯忘れちゃって。ごめんね。瞭くん。』


「いや、良いんだ。ごめんな。」


なんだか、どうでも良いような気がした。

11時を過ぎた深夜に買い物。

そんな嘘の会話。

見破るのも面倒。


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