揺れる虹
切れた携帯を手に、ベッドに潜り込む。


「はぁ………何やってんだろ。」


声、少しかれてたかな?

咳、我慢してた?

熱、出てないんだろうか?

もしかして、具合悪くて寝込んでた?

だから携帯に出れなかった?

考え出すときりがない。


『逢いたい。』


『寂しい。』


そう言えば、すぐに駆け付ける。

だから、言わない。

わかっていても、はがゆくて、切なくて。

自分が情無くて。

シーツをぎゅっと握り、そのまま力任せに引っ張った。

綺麗にメイキングされたシーツがあっというまに波を打つ。

まるで俺の心の中みたいに。


「逢いに行こうかな。」


仰いだ天井が、寂しく覆い被さってくる。





せめて、夢の中で………。





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