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「大貴、志望校決めた?」

一番の親友の高橋慎吾が隣に来た。

「N高行きたいよな、やっぱ。」

「やっぱりな!俺もNだ。」

N高は市内でもサッカー部がトップレベルの高校だった。
正直、俺のサッカーで着いて行けるかは分からない。
でも、サッカーは続けたいし、続けるなら強いところでやりたい。
全ての条件はN高で揃っていた。

「一緒に合格してN高でサッカーしようぜ!」

慎吾はそう言った。

慎吾は友達としてだけじゃなく、人間として尊敬できる良い奴だ。
サッカーは誰にも負けたくないと思ってるけど、慎吾にだけはどうしても勝てない。
でも慎吾はいつも俺に「俺は大貴にだけは勝てない。」と言ってくる。
慎吾にそう言われると嬉しいけど、やっぱり実力は実力だ。

でも、高校では絶対に慎吾を抜いてやる。

信頼できる友達として、良いライバルとして、慎吾が大好きだ。

「ただなー、偏差値がなー・・・」

「う、それを言うなって。」

N高はサッカー部が強いことでも有名だったが、偏差値の高さでも有名だった。
そこそこ勉強ができる慎吾と俺でもギリギリラインだった。

「でもギリギリ合格ラインじゃん。頑張ろうぜ。」

慎吾の言葉にうなずくと、進路希望調査書の【進学希望】に丸を付け、志望校の欄にはいつもより丁寧な字で【N高校】と記入した。

書き終えた進路希望調査書を担任に提出しようと立ちあがった瞬間、背後から何かが迫って来る気配を感じた。
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