不器用な指先


解説つきのため私でも解けるが、次の問いには指が止まってしまう。


むー、とうなるも解けるわけがなく。目の前の相手に助け舟をと。


「自力で解け。でなければ、お前の長ったらしい髪を切るぞ」


沈没船だった。


ひゃー、と思わず自分の髪を手で触る。


三年は伸ばしっぱなしの私の自慢の黒髪。


「か、髪は女の命なのですわよ!」


「人間の命は心臓と決まっている。あと、言葉使いが気味悪いぞ」


「気味悪いだなんて……!あなたは今、全国のお嬢様たちを敵に回しましたよっ」


「ほら、解いてみろ」


スルー二度目。
何だか熱気こもるこちらがバカみたいだと、シャーペンをまた握るわけだが。


無理だ。
全神経がそう言っており、本能的アレも解けないと言っているのだから。


「む……」


「無理とか言った場合はお前の髪を売りに行くからな。キロ、十円で」


「難しいですねぇぇ」


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