わたしが本当に好きな人
「好きなんです!」
はい?
音楽室に入ろうとすると隣の教室から声が聞こえてきた。
「あれ、隣のクラスの女子だよ」
一緒に上がってきた仁美が小声で言う。
言葉からすると告白しているところなのだろう。
相手のほうはよく見えない。
「ごめん」
わたしは耳を疑った。
告白されていたのは先生だった。
「澤先生、また告白されてる」
「また?」
「うん、結構モテるみたい」
先生、モテるんだ……
背も高いし、優しそうだし、当然かもしれない。
だからそれほどショックではなかった。
次の言葉を聞くまでは……
「彼女いるから」
瞬間、頭の中が真っ白になった。
いつもと違うところがさらに増えた……
先生が告白されて、しかも彼女がいることが判明した。
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