丸太のケーキ
丸太のケーキ
「さてと、始めますか。」


ベージュに茶色の小さな水玉が可愛いエプロンをキュッと腰で縛ると、美羽は気合いを入れるかのように腰に手を置いた。


「気合い入ってるねぇ。」


思わず口に出た俺を見て、にっこり笑う。


「入ってるよ。」


きりっとした男前……な顔で、俺を見つめた。


「あ……なんか手伝う?」


ちょっとだけ、気合い負けしてしまった俺。


「うーん………後でね。」


キッチンへ向かう背中が、とてもたくましい。

テーブルに広げられたクリスマス特集の雑誌。


「言わなきゃよかったかな……。」


たくましい背中を見送りながら、反省してみる。

今更だけど………。

開かれたページでは、サンタが幸せそうに俺を見つめていた。




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