意地悪な上司





「今日あるなんて聞いてないよ」


「緊急なんだって」


綿貫は笑う

なんで笑えるのかな

今から窃盗しに行くのに……


「何よその顔よ」


笑えるわけない

だって…



「いいじゃん綺麗な世界は私たちには似合わないんだから

私たちは産まれた時からこんな世界しか生きられないんだから」



「…そうだね、まだ時間?」


「まだ入ると赤外線がね

あと13分」



「そう」



私たちは今はビルの物置小屋にいる


今回はその会社の書類が欲しいらしい





「ねぇ今でも親を恨んでる?」


綿貫に聞いてみた


「別に…ただ、綺麗な世界で生きていたら私たちの人生も変わっていたのかな」



「………変わっていた、よ」





< 32 / 109 >

この作品をシェア

pagetop