不可解な恋愛 【完】
『目立ちますよ、神崎さん。その服』


「あ、そう?」


『遠くから見ても、すぐわかりました』


「あ、そう。」


『…立ち話もなんですね。』


「そうだね」


『お茶しません?』


「あ、そっち?」






話を適当に終わらせて、この場を去ろうと思ったんだけど

飛鳥はにっこり口角を上げると、俺をお茶に誘う。

あいにく俺に、お茶に行く気はさらさらない。






「いや、遠慮しとく」


『この前いいお店見つけたんですよー』


「聞いてます?俺の話」


『お忙しいんですか?』


「うん、かなり」


『……じゃあ、仕方ないですね』






先程上げた口角を、ゆるゆると下げて

彼女は少し、寂しそうな顔をした。

じゃあ、という声と共に、彼女の履くパンプスのヒールがひとつ鳴る。
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