儚キ想イ
 入学式。

みんな緊張した面もちで話しを聞いている。

そして話しが終わり自分のクラスに戻った。

「あの校長先生、意外と年いってるんだね―」

「うんうん。もっと若いかと思った」

「だよね〜見た目的には――」

「そ―そ―」

(もうみんな友達できてるんだ……私できるかな…?)

「あっあの………」

「ん?」

 私の横に立っているのは見るからにお嬢様なオーラを放っている清楚な女の子。

「どうしたんですか?」

「よかったら…仲良くしてくれませんか…?」

(足が少し震えている。緊張してるのかな…)

「もちろん!名前は?」

「佐倉夏(さくら なつ)です」

「じゃあなつでいい?」

「はい!!」

「私は早乙女シノ」

「シノさんでいいですか?」

「さんはいらない。それと敬語
は禁止だよ」

「ああぁ…はい!!」

「これからよろしくね?」

 私が差し伸べた手を彼女の白く細い指が暖かく包んでくれた。

冷め切った指がしびれた。

「手…暖かいね」

「そう…かな?」

「手が温かい人は心が温かいっていうんだって」

「そんなことないと思うよ…例え冷たくても温かい人もいると思う」

「なつがそういうならそうなのかな?」

「えっでも私が思うことで、本当のとこは…ッ」

「大丈夫だよ」

「へ?」

「自分にじ」

 私が発した言葉は学活を始める授業で消されなつも頭にはてなを浮かべながら席についた。
 これからなつとうまくやっていけたらいいと思う。

 入学式から何週間か経ったある日のこと。

クラスにも何人か友達が増えてきた時期。

「シノ!」

 勢いよく入ってきたのはナギだった。

「な…何……?」

「いいからちょっと来い!」

「えっちょっ…!」

 私の腕をつかみ引っ張っていくナギ。

周りの目を気にすることなく堂々と廊下を進んでいく。

 すれ違う生徒達は好奇なまなざしで私たち2人を見ている。
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