満ち足りない月
「あの女、意外に素早いな」
やはりセシルの予感は当たっていたらしい。
どうやら自分を探しているようだ。
「まだこの辺りにいるはずだ」
草がセシルのすぐ近くでサクサクと聞こえた。周りを見渡しているのだろうか。
「無理ですよ、この暗さだ。で、どうします?」
あの若い方の男の声だ。
「どうするも何も最後の情報も結局はガセだったという訳だ」
こちらは口髭の男。
二人共、何を話しているのか全く分からない。