女子DEATHヒーロー
 あたしは怒りを抑えるために部屋を見回した。
 抑えるより、バレないために。
 恐い顔になってたら那奈に引かれるし!

 ふーん、間取りはあたしたちの部屋と変わらないみたい。
 でも、ちょっと共同スペースが狭くて部屋は二つある。

 那奈の同室ちょっと気になる。

「そう言えばさ……親衛隊入ってない子と同室なんでしょ?」
 一年ではあたしとその子だけらしい。その子……無事なのかなぁって心配になる。
 まぁ、情報通の央太が何にも言わないから大丈夫なんだろうけど。
 ……央太は必要な情報しかあたしに言わないか。

 でも、何かあったら周りが騒ぐよね。

「うん。多分、もうすぐ帰ってくると思うよ」
「どっか行ってるの?」

 ちなみに、那奈の部屋に来るのは実は三回目だけど一度も会ってない。
 休みの日でも居ないんだよね……。

「昼時は忙しいんだって」
「……何かしてるの?」

 那奈は首を傾げて苦笑した。
 気になる。究極に気になる。何で忙しいんだろ?ご飯が好きだから?……那奈も一緒に行くか。
 昼……?
 あれ?何か思い出しそう。誰かが言ってたような……。『昼の食堂は天国だろうな!』って。
 誰だろ。

「その子、ちょっと変わってるの」

 那奈が困りながら言うんだから……相当変わってるのか。

 あたしがモヤモヤしてると、鍵があけられる音がした。
 いいタイミング!
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