君に染まる(前編)

心の変化



「シャワー浴びたらこれに着替えて」



VIPルームのシャワー室に
案内してくれた芹澤先輩は、
そう言ってタオルとジャージを
渡してくれた。



「制服クリーニングに出してくるから
落ち着くまでここにいていいよ」



あたしが小さくうなずくと
先輩はシャワー室から出ていった。



あ…お礼…。



「芹澤先輩」



シャワー室から顔を出し、
VIPルームから出ようとしていた先輩を
呼び止めた。



「…いろいろと、ありがとうございます」



ぺこっと頭を下げると、
先輩は小さく笑った。



「優でいいよ」



「え?」



「芹澤先輩って長いし、
未央とはこれからも関わりそうだから」



その言葉に首をかしげると、



「…創吾のお気に入りだからね」



意味深な笑いを残して
VIPルームから出ていった。



それにしても…
VIPルームってシャワー室もあるんだ…
すごい煌びやか…。



家のシャワーとのギャップに
とまどいながら
シャワーを浴びたあたしは
ジャージに着替えてシャワー室を出た。


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