君に染まる(前編)


中2の時。



お兄ちゃんと堀河さんが
作曲しているのを見て
好奇心だけで作った曲。



それが今、店内に響きわたる。










数分後。



弾き終わった瞬間、
店内のいたる所から拍手が巻き起こった。



照れ臭く思いながらも
嬉しさで満たされながら席に戻ると、
さっきまで楓ちゃんが座っていた席に
急に移動した美紅先輩が
あたしの肩を何度も叩いてきた。



「ねぇねぇねぇねぇ!!!!
創吾の誕プレだけどさ、
曲作ってあげたら?」



「へ?」



急な提案にぽかんとするあたし。



「創吾ね、ピアノ独奏曲好きなのよ。
だからきっと喜ぶ?」



曲の、プレゼント…。



それだったら、
あたしにしか出来ないことかもしれない。



「…いいですね、それ」



笑顔を浮かべるあたしに
美紅先輩はにやっと笑った。



「もちろん、
曲と一緒に
未央ちゃんもプレゼントするのよ?」


< 269 / 337 >

この作品をシェア

pagetop