不器用な指先

貴方が死んだ日

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『実冬、だからそれは誤解なんだよ』

『誤解って何!?どうして昨日優花と一緒にいたの!?』

『だから買い物に付き合ってもらっただけだって言ってるだろう?少し落ち着けよ…な…?』

いつもそう。

喧嘩になって気を荒げるのはいつも私。

私が怒鳴って泣き叫んで。

それを透はいつも静かな口調でなだめるだけ。


友達の紹介で知り合った透は26歳で私より5つ年上。

初めは良かった。

優しくて、冷静で、たくさんわがままを聞いてくれて。

彼氏が大人ってこんなに楽なんだって思った。

だけど、透は

優しいだけだった。


何でも言うことを聞いてくれて、どんなに夜中でも私が会いたいと言えば会いに来てくれる。

けれど

その優しさに

私は次第に物足りなさを感じるようになっていった。


『分かったっ……私にいつも優しかったのも…こういう時のためだったんだ!!』

『…?実冬なに言って…』

『浮気しても…あれだけ優しくしたんだから許されるだろうって…そう言いたいんで…っ』



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