夏と秋の間で・乙


「・・・・・・・なんだ?その答えは?」



 言葉とは、裏腹に早川さんの表情は笑っていた。



「失礼な、これでも一生懸命考えたんだぞ。」



「一生懸命考えた答えが、それでは、望巳くんの頭もたいしたことないね。」



「失礼な。」



 早川さんが笑った。



 早川さんが笑ったから、自分も笑った。



 それが、自然の行為に思えた。



「まったく・・・。でも、まぁいいや。」



「なにが?」



「いや・・・きっと、私はずっとその言葉が聞きたかったのかもしれない。」



「それで良いんだ?」



「うん。友達って、悪くないよ・・・うん、全然悪くない。」



 その言葉が、心からの言葉だというのは、彼女の表情が語っていた。



 だけど、彼女は本当に安心したようにポテトを平らげて・・・。



「卑怯者め。」



 最後の最後に、本音を口にしたのだった・・・・・・・・。



「ごめん。」



 これからどうなるかは分からない。



 早川さんとの友情もいつか崩れる日が来るかもしれない。



 だけど・・・そこからはじめよう。



 お互いに、色んな道を通ってきた。



 あまりに違いすぎる道で、この二つが一緒になるには、俺たちが過ごした時間はあまりに短い。



 だから、しばらくは、それぞれの道でお互いに寄り添うところから始めよう。



 結果、また離れ離れになってしまっても構わない。



 だけど・・・二人がお互いの道に寄り添うことは決して悪いことではないから・・・。



 これから、よろしく・・・。



 早川・・・



 ・・・・・いや、なのは・・・。

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