my name



帰ろ。

合コンを断って特にどこかに寄るでもなく、真っ直ぐ家まで帰る。



亮佑が帰ってくると思って自宅から通える大学にした。

でもその大学には志望の学部もあったから、亮佑の為に夢を諦めたってことはないんだけど。



でもこの大学に通う為に少しは努力した。

勉強とか…。

勉強とか(笑)。



頑張ったのにな。

無駄だったのかな…。



大学から最寄りの駅まで一人でとぼとぼと歩く。

大学に通うには電車を使っている。

卒業してから自転車には乗っていない。


亮佑がいなくなって、2年生になって最初に自転車に乗ったとき、自転車ってこんなに軽かったっけ…って朝から泣きそうになった。

お姉ちゃんがたまに家に帰ってくると、隣の部屋から物音がして、亮佑が居るような錯覚を起こしてしまう。


家も、学校も、全部。

あたしの生活全部に亮佑がいた記憶が残ってて。


気が付けば亮佑のことばかり考えていた。




楽しかったはずなのに、思い出すと泣きそうになる。




だから、もう自転車は乗らない。


自転車には亮佑との思い出が詰まり過ぎているから……。









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