Virus
淳「…丁度いいね。兄さんにも分かって貰う事にしよっか。…大切な人が居なくなる苦痛を」


そう言って淳志は夕花を見た。


遊「や…めろ…!夕花に………手を…出すな…っ!」

必死に声を振り絞って遊志は言った。


だが、淳志は何も答えずに再び右腕を上げた。


夕「…!」


遊「やめろっ!」


ブンッ!


淳志が右腕を降り下ろした。


夕「淳志くんっ…!」


夕花は死を覚悟したかのように目を瞑った。


その瞬間だった。


―「淳志」―


淳「!?」


ビクッ


ギリギリの所で淳志が右腕を止めた。


淳「…由……李…?うあっ!」


淳志が急に頭をかかえた。

夕「淳志くん…?」


淳「ハァ…ハァ…」


遊「…出来ねぇ…よな。お前は…優しいから」


淳「!?」


夕「遊志!?」


遊志はなんとか体を起こして言った。


淳「だま…れ…!」


息が荒い。


何かと戦っている…


そんな感じだ。


淳「壊して…やるんだ…こんな世界―」


遊「まだ分からねぇのかよ!」


淳「!?」


遊志は今まで溜めていた事をついに話した。


遊「お前は全然由李の事分かってない!」


淳「兄さんなんかに由李の何が分かるんだよ!外部で見てただけのくせに―」


遊「お前には分からないのか!?由李の気持ちが!」


淳「由李の気持ち?そんなの分かっ―…」


遊「分かってるんなら、こんな事しないだろ!お前はあの1年間、由李の何を見て来たんだよ!由李は…由李はお前の手を汚して欲しいと願ってるとでも思ってんのか!?」


淳「そ…れは……。でも!俺が許せないんだよ!由李を自殺にまで追い込むなんて…」


遊「………由李は…自殺なんかじゃない」


淳「…えっ…?」


遊「ゴメンな、由李。言わない約束だったのに。でも…もう黙ってられねぇ」


遊志は深呼吸してから、今までずっと言えなかった事を話した。
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