あっぷるティ
―と思っていた次の日―…
キ‐ンコ‐ンカ‐ンコ‐ン
(…あれ?)
今のチャイムは、今日の最後の授業が終わるチャイムだ。
だが、隣の席には誰も座っていない。
(あいつ、今日来なかったな…)
俺の知っている限りでは、池内は遅れてでも、必ず学校には来ていた。
(風邪か…?珍しいな、休むなんて…)
俺が池内の机を見ながら考えていると、何処からかト‐ンの高い声が聞こえてきた。
「ひっかる‐ん☆」
俺は思考を中断させ、声のした方を見た。
その声主は、俺の席の前で此方を向くように座って、満面の笑みで俺を見つめていた。
「ど‐したの?ひろりんの机悲しそうに眺めて…」
「はぁ!?そ、そんな風に見てなんか…!」
「い‐よい‐よ、そんなに否定しなくても」
こいつは相川昇(あいかわのぼる)。
癖っ毛のある少し長い金髪と持ち前の明るさから、初めて会う奴にはよく女と間違われる事が多い。
普段は女っぽい穏やか(?)な性格だが、怒るとすげぇ恐い。
あと、少し腹黒い…。
「来ねぇなんて珍しいから見てただけだよ!」
「ふ‐ん?」
ニヤニヤと笑いながら返してくる相川に、文句を言おうとするが、女子に呼ばれてしまい、実行することは出来なかった。