姫と竜 *王子が誘拐*
……だが不思議とバルクト王はそれほど恐怖を感じてはいなかった。
目の前の化け物が恐ろしく無いわけではない。むしろこれほど恐ろしい物を誰も見た事はないはずだ。
だだ…瞳が異様に美しかった。息を呑むほどのその瞬間──…
低く骨の髄まで痺れるような声が竜の口から発っせられる
『去れ ここは人に在らざる者の地だ。人は住めぬ。』
──どう表現すれば良いのか解らない
衝撃と浮遊感が体を揺らした。