この腕の中で君を想う
「あーーーー!!!」
ようやく自分の失態に気付き思わず大声をあげながら立ち上がった
周りに怪訝そうな目で見られたが、そんなこと気にしていられない
すぐさま辺りを見渡して、駅名が書いてあるボードのようなものを探した
すぐに見つかり、食い入るように見つめるが、自分が降りる予定だった駅から四駅ほど通過していた
…やっぱり寝過ごしてたかι
事の重大さにみるみる顔が青ざめていく
「どうしよう…ι」
次の駅で降りて駅員さんに事情を説明してからすぐに切符を買って…
あ…また切符買うのか
手に持っていたスクールバッグのチャックを乱暴に開けると手早く長財布を取り出して中身を見る
「…げっ!!」
残金の確認をしていたら思わずみっともない声が出た
全財産15円
「帰れないじゃん…」
目の前が真っ暗になった