この腕の中で君を想う


「お前らは定時に帰ればいい。勿論それぞれ自分の仕事を片付けれなかったら残業しろと命令するかもしれないが…他は俺がやっとくから問題ない」


書類に目を通しながらそう言えば堅物女はフッと嘲笑して


「とても白山課長一人で今日中に片付くようには思えませんけど…なんなら私がお手伝い致しましょうか?」


呆れたように溜め息をつくと俺の両端にある山のような書類を指差した


…いちいち突っかかってくる女だな



「気遣いは嬉しいが結構だ。俺は俺のペースで仕事をこなす」


苛立った気持ちを隠すように顔に偽りの笑顔を張り付けて堅物女を見上げるが


「それは構いませんが…明日までに間に合わない!!手伝ってくれ~って泣きついてこないで下さいね」


表情ひとつ変えず、それどころか軽く鼻で笑われた


誰がお前なんかにするか!!


こいつ、わざと俺が腹立つような態度をとってるのか?


まぁ…天然でも意図的にしろムカつくのには変わりないが


< 92 / 252 >

この作品をシェア

pagetop