君と出逢った
親友
僕が親友と呼べる友人が出来るなんて信じられなかった。
僕…一人称はこれだかれっきとした女だ。
僕と彼女の出会いは高校生の時。
ホームルーム委員長で生徒会役員を率先してやる、いわば真面目を絵に描いたような僕が通うのは伝統ある、女子校だ。
皆、窮屈な中学生活から抜け出し、思い思いのおしゃれに身を包む。
ロングヘアを明るいカラーに染め、手頃な化粧品でメイクを施し、マニキュアまでしている。
かといって、僕はそれを否定しない。
女の子というのはそういうものだ。

物思いにふけっていると…

「いいんちょー」
と、明るい声がした。
そこそこ勉強ができ、軽くメイクはするものの、皆ほどはじけない僕。

にっこり笑顔を振りまいて僕はクラスメートに振り返る。

「どうしたの?」
我ながら優しい答え。
きれいな金髪を揺らして彼女は僕に宿題を見せてくれと両手を合わせる。
「いいよ」と笑顔付きで数学のノートを渡した。

僕のクラスでのポジションは優しく頼られる委員長。
入学して半年。
真面目だか気さく。
先生にも人望は厚い。
クラスでの位置もそこそこ。

染めていない黒髪はストレートでいつもシルバーのメガネをかけている。
スカートは校則ギリギリのミニスカート。
指定のシャツが嫌でラルフローレンの白やオフホワイト、薄いピンクのカラーシャツを着ている僕は成績優秀だから先生に咎められることすらない。
学校指定のリボンはダサく、色さえあっていればよいだろうと通販で買ったブルーのリボンをつけ、黒のニーハイをはいている。
足元はもちろんヒール高めのローファー。
そんな格好で委員長もないだろうが、学年トップの僕にあからさまな注意をする先生はいない。
クラスメートも品行方正でない僕に打ち解けている。
いかにも真面目な優等生なんか流行らない。
適度に気を抜き、バレないように薄化粧しそして僕は生徒会に滑りこんだ。
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