ストーカークラブ
「何だよこれ……。別れてない事を、どうして知ってるんだ」


「信太ヤバイぜ。こいつ頭イカれてるよ。すぐにでも別れた方がいいんじゃないか?」


「俺も限界だよ。卒業まではって思ってたんだけど、明日にでも別れ話しするよ」


 そう話してる直後、公園の前にある川沿いの道を、見覚えのある人物が歩いていた。こんな時間に、こんな場所に居るはずのない人物……。


「美っ、美奈子だっ!!」


「えっ? さっき彼女は信太が駅まで送ってきたんだろ? しかも家が遠いから、まだ電車に乗ってるはずだよな?」


 話していた内容が内容なだけに、信太も陽一もパニくっていた。そうこうしている間にも、その人物との距離が縮まり、向こうもこっちを見ている。


「俺、本人かどうか確かめてみるよ」


 こっちからも、その人物に近づくと、やはりそれは美奈子だった。


「しっ、信太! どうしたの? 帰らないで何してるの!」


 明らかに美奈子は狼狽している。
 そして信太はなるべく平静を装って言った。


「いや、たまたま帰りに友達と会ったから、立ち話ししてたんだよ。それより美奈子はどうしてこんな所に居るの? 電車乗ったよね?」


「うんとね友達からメールで、この先の病院に入院したって知らせがきたから、途中で電車を降りて引き返してきたの。あっ、あそこに居るのが友達? 紹介してよ」


 陽一も信太と偶然会ったとごまかしてくれた。


「信太、私病院行ったら、またここ通るから帰り送ってね」


 一方的に告げ、美奈子は病院とは逆の道に歩いて行った。



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