ストーカークラブ
 陽一が自宅の電話を取ると、信太は一呼吸し、直感で順の携帯にかけた。

 プルルルル〜♪

 かかった。しかし、出ないので、切ると速攻で順の自宅にかけた。

 ツゥーツゥーツゥー。

 話し中だった。順は一人暮らしのはずだ。

 そして陽一も受話器を置く。

 信太は、順の携帯にかけたが出なかった事と、自宅の電話は話し中だった事を陽一に話すと、驚くべき答えが返ってきた。


「順君の着メロって、一昔前に流行った、何とか娘ってアイドルグループの曲じゃない?」


「えっ? ああ。順は熱狂的なファンで、ずっと着メロはそれだったはず」


「そうか。ボイスチェンジャーで、永遠と呪いの呪文みたいに言う犯人の電話口から、その着メロが微かに聞こえてたんだ」


 信太は神妙に頷きながら、陽一の話しを聞いていた。


「電話越しにその着メロが鳴りだして、ボイスチェンジャーの声が一瞬黙ってたんだよ。そしたら電話が切れたんだ」


 紛れもなくボイスチェンジャーの犯人は順だ……。間違いない。


「俺さ、何でか分からないけど全ての嫌がらせが順一人の犯行だっていう気がしないんだよ。統一感がないっていうか、上手く言えないけど」


「確かに違和感あるよな。ボイスチェンジャーとメールは同じ内容だから、犯人は順君に間違いないと思うけど、動機は何だ? それと携帯への非通知や、自宅への無言電話、傘を切り刻んだのは?」


 俺達は色々な仮説を立ててみたが、順の動機も違和感の原因も曖昧だった。

 夜も更け、酒を飲みながら話す俺達に緊張を走らせたのは、


 ピロピロリ〜ン♪

 それは、メールの着信音だった。
 そしてディスプレイには順の名前が表示されていた。

< 23 / 43 >

この作品をシェア

pagetop