幸せな結末
ヤだな、沈黙って…。

そう思っていた時、
「あのさ…本当に、ありがとうね?」

若宮さんが言った。

「えっ?」

そう聞いた私に、
「携帯電話を拾ってくれて」

「ああ、はい」

「本当に助かったって思ってる」

そう言った若宮さんの横顔に、私は視線を向けた。

黒いビー玉のようなキレイな瞳――うっかりしたら、吸い込まれてしまいそうだ。

「私も、ありがとうございます」

そう言った私に、
「そう」

若宮さんが言った。

突然の一目ぼれってあるのかなと、私は思った。

出会ってたった数時間で、恋に落ちるなんて…と。
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