妄想な彼女

舞台が暗くなり、俺達は大急ぎで着替えをする



ナレーション「それから10年が経った」


そんなナレーションと共に舞台は明るくなり、剣を持っている沖田と近藤が緊迫した雰囲気の中にいた


「きゃあーカッコいい!」

そんな女子の声が聞こえてきた気がした



―――――


カシャン!カシャン!ガッ!


『沖田!お前…その程度の力で幕府を守れるとでも思っているのか!!!』

『…ック!』



ガシャーン!


沖田は倒れ尻餅をつく


そんな沖田に近藤は手を差し出す


しかし沖田はそれを掴もうとはしない


『いいか沖田。確かに、お前はまだ幕府を守れるほどの力はない…
でもそれは今っだけだ…
…………俺は信じてる、お前は俺よりも強くなるはずだ。だからそれまで剣を捨てるな…
最後まで武士道を忘れるな。いいか?』


『局長…』




『さぁ!もう一度だ沖田!!本気を出してみろ!』


その一言で沖田の顔つきが変わる

舞台を見ているものにもそれは伝わるのか…ゴクリと息をのむ



『では…遠慮なく
はぁぁぁぁ!!!』





カシャーーーーーンッ!!



『うぐっ…!』


一瞬の剣さばきに「おぉー」と歓声があがる


いつもこのシーンは避ける俺の方が大変で、成功したのは奇跡みたいな感じだ



その後も剣の稽古のシーンは続く、俺の出番がないシーンのとき、何気に観客席をみると

最初よりも観客が増えていた



「なんだコレ…っ」

「すごいですよねー」


後ろから河辺がやって来てボソリと呟いた

「先輩が言ってたんですけど、演劇部にこんなに観客が来たの初めてらしいですよ♪」



え゛…っまじかよ…


やっぱスゲーんだなアイツ…



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