【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
「ほら、もうすぐ次の授業チャイム鳴っちゃいますよ。先輩の教室遠いんだから、さっさと行ってください」
授業開始1分前。
ギリギリまで1年の教室を離れない先輩に、いつもあたしはそう教えてあげる。
「あッ!もうこんな時間!じゃあね!ちぃーちゃんサヤちゃんまた来るね〜!!」
そうすると、先輩は慌てて教室を飛び出していく。
毎度毎度この調子なものだから、先輩には学習能力がないんじゃないかと本気で疑いたくなる。
人一倍ドタドタと激しい音を立てて廊下を走っていく先輩に、あたしはポツリと毒を吐く。
「だから来なくていいってば。やっぱ変な人だわ」
───けれど。
そんな先輩がちょっと気になりはじめてきたことは・・・・まだ秘密。