二人だけの秘密
二人とも
汗だくでベッドに沈み込む。


私は少し頭がボーッとしてしまっていた。


今まで感じたことのない感覚。
澤辺さんの体にハマってしまいそうだ。


澤辺さんは腕枕をしてくれた。

もっとくっついていたい!
でも帰る時間は近づいていた。

「次はいつ?」
私はすぐにまた澤辺さんに会いたくなっていた。

「うん。なるべくこっちに出張作るようにするよ。
また決まったらすぐに連絡する」
そう言って私の頭をなでた。

私は名残惜しい気持ちで
身支度を済ませた。

澤辺さんも服を着直した。
「駅まで送って行くよ」

部屋のドアを出る前に
澤辺さんは私を優しく抱きしめてくれた。


長く感じた駅までの地下道が
短く感じるのはなぜだろう・・・。
私達は手を繋いで歩いた。


澤辺さんにひとつ聞いてみたいことがあった。


澤辺さんはこういう関係に慣れているのか?
ってこと。
タブーだとは思ったけど
私は聞かずにはいられなかった。

「澤辺さん?ひとつ聞いていい?」
「うん何?」
「澤辺さん浮気ってしたことある?」
直球過ぎたかしら・・・。


澤辺さんから返ってきた答えは。

私のほうは見ずに。
前を向きながら
「今。してる。」
だった。


うん。
なかなかの返し。
まぁもっともなんだけど。
って関心してる場合じゃないけど。


それを聞いて
私はそれ以上聞けなかったし、

こういうこと・・・
私達の関係性を問うのはタブーなんだとわかった。


それ以来
私は澤辺さんにこういう話は一切しなかった。
その時が最初で最後。


だから最後の時まで
澤辺さんの気持ちがわからなかった。
< 45 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop