君が必要とする限り


その唇の口角が上がり、


そっと呟く。


「先生…唇見つめすぎです。」


「…へっ…あっ、ああ!
すみませんっ!!」


彼女の肩を掴んで俺から離れさせる。



額にあった柔らかい温もりはあっさりと消えたのに、


鼓動の速さと体温の上昇は全くもって消えてはくれない。


「ほんと…すみません…」


一体俺は何に謝っているのだろう。


情けない。情けなさすぎる…


顔を伏せて息を整えて
彼女の肩から手を離し、


「…じゃあ、始めましょうか。」

やっと医者らしい言葉を放ち、
俺は彼女よりも早く、
腰を下ろした。



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