君が必要とする限り


「また、会えるよね…?」


「もちろん。」


部屋を出る際に、
彼女が言った言葉を
あまり深く考えなかった。


いや、考えないようにしてた。


彼女が眠りに着いたのを確認し、渡された合鍵で鍵をしっかりとかける。



深夜の街は妙に静かで、
不思議な感覚に陥りながら
運転をした。


着直した服には、
彼女の柔らかい肌、髪、
甘い匂いが残り


まだ傍にいるようだった。


最後に見た、綺麗な寝顔を思い出し、すぐに抱き締めたくなった。


その代わりに、ハンドルを強く握る。


と、その時。
携帯が鳴った。


それは――



孝司からだった。




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