カミサン伝説20「ハッピー編」
 「へえー、カミサン?」
 二人の男の話しを聞いていたのか、
もう一人の男が声を二人にかける。

 「あんた、カミサン知ってるのか?」

 「もちろん」

 「まさか、二人はグルじゃないのか?」

 「ああっ?」

 「もうー、あんたも疑り深いね。
 そのクセ、しつこいねえ。
 本当は気になってるんだろう!」

 「気にならない方がおかしいだろう?
 そんな変なところで、変な像ひとつだけ売っているんだから、
 しかも、値段が時価って表示だもんな!
 寿司屋じゃあるまいし」

 「だから、そこが訳ありなんだって!」

 「横から悪いけど、時価って今いくら?」
 また、さっき横から口を出した男が訊く。

 「今なら、5万だな」
 「あー、
 そんなインチキな像が5万だって、
 やめときなよ」

 「インチキ?
 あー、私は一応訊いてみただけですから、
 3000円なら、
いただこうかなって思ってましたけどね」

 「3000円でもやめときな!」

 「3000円なんてとんでもないよ。
 こっちが売らないよ。
 時価だけ!
 値引きはないんだ」

 「うーん。じゃあ、本物かなあ?」

 「やめろって、インチキに決まってるだろう。
 ハッピーな像なんて」
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