たとえばあなたが



「この6人というのが誰なのか、どう調べても名前がわからないんです」

「俺だって知らんよ」

「でも、当時の資料を見れば…」

「できるわけないだろ、そんなこと」



刑事は小声ながらも鋭く早口で、千晶を制した。



「内部の情報を漏らしたりしたら、俺のクビが飛ぶよ」

「…じゃあ当時、事件を担当していたほかの刑事さんを教えてください」

「……」



刑事は、ふぅっと煙を吐き出して、タバコの灰を灰皿に落とした。



「キミさ、もうちょっとうまい聞き方があるんじゃないか?」

「うまく聞いたら教えてくれますか?」

「アホか」



千晶が黙ると、隣で黙って聞いていた崇文が体を乗り出した。

「6人のうち、誰かひとりだけでもいいんです。お願いします」



「…いつまで続くんだよ、この堂々巡りは」




< 110 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop