たとえばあなたが



「いつ、ご結婚されるんですか」

崇文は、出来る限り冷静を装って聞いた。

「まだ未定なんですぅ」

体をくねらせ照れながら、礼子はバッグから何かを取り出した。



ネックレスだろうか、細いチェーンが指の間から下がっている。

礼子はそれを両手で包むようにして、愛おしそうに眺めた。



崇文がちょっと首を伸ばして確認すると、それはロケットペンダントだった。

(…今どきロケットかよ!)

度肝を抜かれるとは、まさにこのことだ。



「これ、彼ですぅ」

礼子が開いたロケットを、崇文は受け取った。

シルバーが黒く変色していて、ずいぶん古いものだということがわかった。




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