マイエンジェル†甘い声で囁いて
あ…まただ。


三国くんのピアノを聴いていた時と同じ。


ギュウッと、胸が絞られるような長い痛み…。



「三国くんって、今は彼女いない…よね?」


あれだけ練習に付き合ってくれてたし、彼女がいたとしたら、かなり申し訳ない事をした事になる。


「景の話だと、高校入ってから別れたみたいです。三国先輩、音楽の事になると時が止まっちゃうから…」


あぁ…。そっか。


いつも、自分の納得いかない事だと、考えて動きさえ止まっちゃうもんね。

いきなり曲変えるとか、彼女と約束があっても考え事があると今日はやめたとか言いそう。


真央ちゃんが私をじーっと見る。


「風ちゃんは、どうして三国先輩じゃなかったんですか?」


「どうしてって言われても…」


「タクミが中学の時連れてた子って…風ちゃんとタイプ違うし、今更あの趣味が変わるのかなとか思ったり。あ~あ、三国先輩の方がいいのになぁ」


タクミ、すごい言われよう…。


初めてスタジオ行った時も、女の子たちに言われてたっけ。三国くんの方がいいのに!って。

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