異世界にて

 そして、菖蒲は寝ながら訴えた。


『1人にしないで…。もう、わたしを1人に……』


ダルクは咄嗟に『大丈夫。お前は1人じゃない』と寝ている相手に話し掛けた。

すると、菖蒲の口が動いて、『そうだね…。わたしは、1人じゃ…な、い』と呟くと、また寝息をたて始めた。

ダルクは菖蒲が心配になり、同じ部屋で寝ることにしたのだ。

菖蒲がスヤスヤと眠っているのを見ていたら、いつの間にか眠くなっていたようで、気付けばベッドの中で眠っていた。


「取り敢えず、お前服きろ」


ダルクはプレゼントの箱を菖蒲に手渡す。


「あの、これは…?」


「服だけど」


ダルクが昨日、夜に出掛けると言ったのは、菖蒲の服を買うためだった。
< 29 / 63 >

この作品をシェア

pagetop