〜初恋〜アナタに溺れる

彼と私の本音

夜を待って、健哉に電話をかけた。


どう切り出そう…。


『もしもし、麻乃?』

健哉…

ヤバッ…泣きそう。


『し…ごと、終わった?』

『うん。どうした?』

どうしよう。

なんて言ったらいいの。


『なんか、あった?』


いつまでも無言の私に不思議そうに問い掛ける。


『今から…会えない?』


『…いいけど。』


よかった。

なんとか、言えた。


『じゃぁ、今から行くね?』


『……あ、俺がそっちに行くよ』


え?

どうして…?

今までこんなことなかったのに。


断ったりしなかったのに。


もしかして一緒なの?


昼間いたあの子が健哉の部屋にいるの?

ずっと私の居場所だった健哉の隣に、今はあの子がいる。

もう、健哉の心に私はいないの?


電話を切ったあと、溢れだす涙を止めることが出来なかった。

今日が最後かもしれない…


そう思ったから。






< 107 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop