〜初恋〜アナタに溺れる

〜桜とアイツ〜

幸せな思い出に浸っていた私を現実に戻す聞き慣れた声。


「麻乃。こんなところで何してるの?」


私の隣にスッと並んで立ったのは…

「あ…健哉。」

「帰りでしょ?ついでだから飲んでく?」

ニコッと優しく見下ろすのは彼氏の健哉(ケンヤ)

「うん。今日は付き合いないの?」

「たまにはね。いつもじゃ疲れるし」

「そっか。どこにする?」

「久しぶりにあそこ行くか。」

「うん。」

健哉はほとんど毎日のように、会社の取引先やなんやらで飲み会が多い。

だから、平日にこうして会うことなんで数える程度。

営業の仕事だから中々断れないみたい。


そんな毎日にも私は慣れてしまっていた。

デート中断なんて当たり前のようにあるし…。

「で、さっき何してたの?」

歩きながら、思い出したように聞いてきた。

「星…みてた。今日は特別キレイだったから」

笑顔で彼を見つめると、照れたように笑って私の頭を撫でた。

「相変わらず星見るの好きだな」

「癒されるんだよ。健哉は嫌い?」

見上げた私と視線を合わせてから、空を見上げる。





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