〜初恋〜アナタに溺れる

嘘つきな心

「はぁ…」

パソコンに向かって、ちょっと打っては溜息の繰り返し。

朝からぼんやりな頭は思うように働いてはくれない。

なぜかって?

それは…もちろん昨日の出来事のせい。

思い出すだけで、身体中が熱くなる。


「はぁ…」

今日何十回目かの溜息が零れた直後…

ブーッ…ブーッ…ブーッ…

デスクに置かれた携帯が私の溜息に、葛を入れるかのように鳴り出した。

ディスプレイを確認して思わず息を呑む。

<着信 猛>

なんで?

教えてないのに…

猛…その字を見ただけでヒートアップする心臓。

落ち着け!

冷静になれ私!

心の中でそう呟いてから電話に出た。

『もしもし…?』

『あ、俺、猛。今大丈夫か?』

『うん…大丈夫だよ』

『今日の夕方時間取れるか?』

えっ…

時間て…どうゆーこと?

戸惑いが電話越しに伝わったのか、猛が慌てて言葉を繋げた。

『いや、結婚式の件なんだけど。予定入ってた?』

あ、なんだ。

結婚式の話…ははっ、バカみたい。

何、変に期待してんの私。

そんなわけないのに…




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