犯人ゲーム



腹部に触れると湿った感触があった。


手の平を見れば、ここに来て既に見慣れた赤い、命の液体。


……腹が、熱い。


「ぐ……、あぁぁっ!?」


腹を押さえながら、うずくまる。血は、止まらない。


「痛ぁぁ」


背後で何か金属の物音がした。


歯を食いしばり、肩越しに覗く。


淡いオレンジのライトが遠くに見えた。


マネキン達を照らす、申し訳程度に設置された照明。


それがある一点。人型に欠落している。


「あは」


欠落は声をあげた。


叫びにも似た、哄笑。


「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」


くそ、が。


声の正体は、さっき蹴り飛ばした女子だった。


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