【完】君の笑顔





もう1人の子は……?


その子の方へと視線を振ると、



「私は今回心が発作を起すまで心が病気だって事知らなかったんです」



寂しそうに俯きがちに言う彼女。



話をして貰えなかった事は悲しいかもしれない。


なんで話してくれなかったんだろう?って、彼女は思っているかもしれない。



……でも、隠していた理由、僕は分かる気がするんだ。



「きっと、心配かけたくなかったんでしょうね」



岡本さんの担当医になって、毎日彼女の様子を見ていると分かるんだ。



性格とか、考えてることとか、なんとなく分かったりする時がある。



自分が心臓病を持ってるって事を言わなかったのは、きっと心配させたくなかったからだと。



言ったら気を遣ったりすると思うから言わなかったんだと思う。



「……あたしもそう思うよ」



あさみちゃんに言われ、彼女は何度も頷く。


岡本さんは、心配されることを嫌うから。



僕も彼女に『発作』や『手術』と言う言葉を掛け過ぎているのかも知れない。



岡本さんなりに、ちゃんと考えているのかも。


「……心って、手術をすれば治りますか?」





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