たった一人の親友へ
気がついたら家路の途中だった
髪から滴るしずくと一緒にあたしは空虚感に襲われた







一つだけ覚えてることがある

保健室を出た瞬間外でサッカーをしている翔たちが見えた
あたしはなるべく下を向いて足早に去ろうとしたのに

そんな様子を目ざとく見つけた翔


「うわっびっちょびちょ。水浴びでもしたの?笑」


そんな問い掛けに無言のあたし


「ちょっとこっち来い」
手をひっぱられ、図書館の中に入った

そこで彼はあたしの頭の上に使いかけのタオルをかけてくれた

「これ使っていいから。後、トイレ行ってその目の下の黒いの落としてこい」

笑いながら言う翔


あたしのこと嫌いなんじゃないの?
そんな言葉が喉の奥から出かけた

翔はあたしの肩をぽんぽんと叩いて、また友達の元へと戻って行った


< 10 / 265 >

この作品をシェア

pagetop