たった一人の親友へ
その日の夜

夏から電話が来た

夏は多くは語らなかった

それは多分夏とたくちゃんにしか分からない問題だから


たくちゃんは夏の妊娠を聞いて


夏のことは本当に愛していて

その子を産んで三人で暮らしたい。

そう思いたいけど

今の自分には夢があって

将来があって

だから夏とその子と養っていく自信がないって


泣きながらそう言われたんだって





おろしてくれって






これを聞いて

たくちゃんは冷たいって思う人がいるかもしれない


でも夏はほっとしたんだって

今まで自分を責め続けていたから


子供の命を奪うことに罪悪感がないわけじゃない

だからこそ夏はこの子のこと絶対に忘れないって



命って重いね

そういって夏は

お腹の子供に対して

「ごめんね、産んであげられなくて」

と泣いた



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