王国ファンタジア【氷炎の民】ドラゴン討伐編
第7章 顔合わせ
「それでは、オレもそろそろ」

 グレードがちらりと振り返れば、バジルのところに同じ隊に配された他の民が集まってきている。

「ああ、面倒を掛けるが、よろしく頼む」
「はい」

 返事をしながらもグレードの黄白色の瞳が不安げに揺れサレンスを伺うが、彼はいつものように落ち着いたままだ。

「では、また明日」
「明日な」

 挨拶を交わし立ち去るグレードと入れ替わるようにして、いつもの軽い足取りでレジィがやってくる。

「お話、すんだんですか?」
「ああ」
 
 凍青の瞳が改めて見るように、じっとレジィを凝視する。
 少年は居心地悪げに身じろぎをした。

「どうかしましたか?」
「いや、相変わらず、小さいなと」
「あのですね。子どもなんですから、小さいのは当たり前です」
「まあ、そうだな」

 どこか心ここにあらずといったサレンスにレジィは首を傾げるが、

(まっ、いいか、サレンス様が変なのは今に始まったことじゃないし)

 とか、本人が聞いたら嘆きそうなことを考える。

「で、何のお話だったんですか?」 
「内緒だ」
「ええっ、酷いっ!」
「お前こそバジルに私の悪口を吹き込んでいただろう」
「はは、ばれてましたか。さすがはサレンス様」
「それは褒めてるのか、貶しているのかどっちだ?」
「もちろん、貶してるんです」
「お前な、少しは……」

 主従のいつものやり取りに声が割ってはいる。

「あのう」

 おずおずと言った調子でかけられた声に、サレンスが振り向く。
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