らぶきゅん






「わかってんの?あ、あんたとあたしがライバルってことには変わりないんだからね!」


そう言ってあたしに背を向けた紗菜さん。


「あっ、紗菜さんっ!!」


あたしは紗菜さんを呼び止めた。


「何よ」


「ここまで走ってきてくれたんですか?」


「……っ」


返事の代わりに目を泳がせる紗菜さん。


「紗菜さんの髪が、いつもは綺麗なのに今日は乱れてます」


すると紗菜さんは慌てて直し、


「そっ、そんなホメ言葉付きの言葉なんてね、裏目に出るだけよっ」


スタスタと去ってしまった。



「相変わらずだね、紗菜さん」


香里が苦笑いをしながら言った。


「仕方ないよ、あれが紗菜さんだから」






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