きいろいアヒル

４・And, after school

放課後の教室。



私はひとり、席に着いて読みかけの小説に目を遣りながらもドキドキする心を落ち着かせていた。



だって、沢原くんと、そんなに仲良くないし。



なのに、放課後教室ふたりっきりだし。



緊張しないはずがない。



沢原くんはどこかに行ってしまっていた。



もしや、初日からサボリ？


なんて思っていたところ、ガラッと教室の前のドアが開いて、彼が姿を現した。


「悪ぃ悪ぃ。ちょっと野球部に顔出してた」



そう言いながら、彼は私に近づいてきた。



「さ、沢原くん、野球部だったの？」



緊張を抑えながら、尋ねた。



すると、彼はどかっと自分の椅子に座り、首を左右に振った。